前回は、工務店のメリットについて考えてみました。まとめていえば、規模が小さいが故の「小回りの利いた」対応ができるということでした。
では、今回は工務店のデメリットについて考えてみます。
4 工務店のデメリット
①会社の規模が小さい場合がほとんどで不安
住宅は建てればそれで終わりかといえばそうではありません。建てたその時から、将来に向けて劣化が始まります。また、建てたときに、建てた側ですら気づかない問題点・気づいていたけど黙っていた一見してすぐにはわからない問題点(法律用語で瑕疵とよばれるもの)がある場合もあります。その際にメンテナンスや補修工事をするのは、その住宅を手掛けた会社に任せるのが安心といえます。
ただし、資本力で劣る工務店は、倒産の不安がないとはいえません。当然、倒産すればそれ以上のアフターケアは受けられません。その点で懸念が残るといえるでしょう。
ただし、現在は、住宅瑕疵担保責任履行法により、新築の際に供託もしくは保険加入が義務付けられています。これにより、事業者の倒産後に瑕疵が発覚した場合にもその供託金もしくは保険から補修費が支払われることになっています。また、住宅のメンテナンスは、その住宅を手掛けた事業者が好ましいというだけであって、ほかの業者に依頼することも当然問題ありません。
そう考えると、アフターケアに対して過度に不安になる必要もなさそうです。
②展示場やモデルハウス、カタログが少ないorない業者が多く、イメージがつかみづらい
やはり、どんなに説明を受けたとしても、実際に目で見て確認することに勝る情報収集はありません。展示場等の「現物」があるのとないのとでは大きな隔たりがあり、工務店はハウスメーカーに比べてその点で劣ります。
もしその工務店が建売住宅を販売しているのであれば、その住宅を内見させてもらうとよいでしょう。
③お客さんが具体的なプランを持っていない場合時間がかかることがある
メリットのところで述べた、工務店の自由設計。自由設計は、自分のイメージを設計に反映させて形にしやすいということができます。しかし、逆の視点からいえば、具体的にどうしたい、というプランをお客様が持っていない場合には、逐一打ち合わせで決定していかなければならないということになり、その結果時間がかかることもあります。
ただし、工務店も、お客様から特に指定がなければこういう仕様にする、というある意味標準仕様を持っているので、特にこだわりがない部分はお任せしてしまうのも1つの手です。
④ハウスメーカーに比べて工期が長い傾向がある
ハウスメーカーは住宅を標準仕様の商品として販売しています。そのため、自社工場で大量生産・加工し、現場では組み立てるだけ、というのが一般的です。そのため、比較的工期は短くすみます。通常の大きさの住宅ですと、2~3ヶ月ほどで竣工します。
一方工務店では、設計がお客様によって大きく異なり得ること、それほど多くの顧客を抱えているわけではないことから、それぞれの設計に合わせた建材の生産・加工を行うことが一般的です。そのため、ハウスメーカーに比べればどうしても工期が長くなりがちです。場合によって大きく異なりますが、工期は3~6か月になることもあります。
以上のように、工務店にも小規模が故のデメリットがあります。ただし、それをデメリットと考えるか否かは人次第、というものもありますので、よく検討するのが一番ではないかと思います。
さて、次回はハウスメーカーのメリットについて考えます。