前回まで、新築と建売物件のメリット・デメリットについて考えてみました。
今回は中古物件について考えてみます。
中古物件のメリット
①現物をすぐに確認できる
現実に建っている物件を購入するわけですから、当然現物を確認できます。むしろ、中古物件を購入する場合は積極的に不動産業者に問い合わせて何度でも足を運ぶべきです。それで嫌な顔をする不動産業者はいないはずですし、そうしていいところ悪いところを把握したうえで納得して購入すれば、引っ越した後に「こんなはずじゃなかった…」なんてことにはなりにくいと思います。
ただし、基本的には表に現れているところを確認できるにとどまり、隠れている部分(しかもそれが建物にとって重要な部分であることが多い)に問題が潜んでいることが多いのも事実です。また、確認するとしても、どこが家にとって重要な部分かを判断することは、一般の消費者にとっては難しいところです。できれば、専門家の知人等と一緒に内見に行くのがベターでしょう。
②購入から実際住むまでのタイムラグがほとんどない
すでに住環境が整備されているので、売買契約→引渡しが済めばすぐに住み始めることができます。
ただし、それはその物件にそのまま住む場合にかぎられ、リフォーム・リノベーションを前提としたときはこの限りではありません。
③新築に比べると割安
一番大きなメリットはやはりここです。当然、新築よりも建物それ自体の価格は安くなり、同じ返済期間で考えるとローンの負担も多少軽くなります。また、設計料(約40万円程度)や建築確認・完了検査の申請料(場合にもよりますが約5万円程度)の負担も必要ありません。
中古物件のデメリット
①建物、設備などが古い
中古である以上、当然建物およびその付帯設備は古くなります。建物は自然に劣化していくものなので、定期的なメンテナンスが必要ですが、中古の場合、車などとは違い前オーナーがどの程度のメンテナンスをしたかが一見して分かりにくいのが現状です。また、構造などは、設計図書等の書類を確認する必要がありますが、残っているとは限りません。
築年数が大きければ大きいほどメンテナンスの必要性とその範囲・費用が大きくのなるのは当然のことといえますが、住宅を建てた場合、特別な理由がない限り、すぐに売りに出すのは稀ですので、中古物件は築年数が大きくなるのが通常です。つまり、中古物件は買った直後にメンテナンスをする必要がある可能性が高いということです。
そして、新築には、建築業者に対し、瑕疵担保責任に関する保険加入or保証金の供託が住宅瑕疵担保履行法により義務付けられていますが、中古物件にはその義務がありませんし、売主の瑕疵担保責任は「引渡しから」3ヶ月程度に限定されるのが一般的です。そうすると、引渡しから3か月以上たった時に建物の中枢・躯体部分に重大な瑕疵が見つかった場合、その修繕はすべて買主負担となります。
そのため、中古物件の購入は、築年数が浅いなどの理由がない限り、リフォーム・リノベーションを前提にすることを強くお勧めします。ただし、そうなると、新築とほとんど金額が変わらず、逆に新築より高くなってしまうことも考えられます。また、リフォーム代金まで融資先が面倒見てくれるとは限りません。
②ローンや税制面で新築より不利
これは新築のメリットで書いた裏返しがそのまま当てはまることになります。
③初期費用負担が大きい
新築のメリットでも書きましたが、通常は、中古物件を購入する際不動産業者に仲介してもらう事となりますが、この場合は仲介手数料がかかってしまいます。メリットのところでは設計料や各種検査申請料に触れましたが、これらは通常建築費用に含まれている事が多く、それゆえ、「建物自体の購入費用」以外のものとしてかかる費用ではありませんが、仲介手数料はこれに含まれないと考えられますから、融資の対象とはならないことが多いです(ただし、あまり大きな声ではいえませんが、通常は、業者がそこら辺までうまくやってくれます)。
以上、中古物件のメリット・デメリットを考えてみました。
予算がそれほど取れないといった場合には中古物件の価格は魅力的ですが、長く住むという観点からすると中古物件は損をすることになると思います。
次回は、以上を踏まえて、新築か中古かをどう判断すべきかを検討してみることにします。
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