住宅取得やリフォームはかなり大きなお金を必要とします。国や地方自治体等は、これを推奨するため、さまざまな税制優遇や支援制度を設けています。
これらをまとめることで、少しでも役に立てればと思い、記事を書いてみます。
▼目次
①住宅ローン減税
②自己資金で認定長期優良住宅等を購入した場合の所得税特別控除
③不動産取得税の課税標準及び税率の特例措置
④新築住宅に関する固定資産税の減額
⑤住宅取得等資金にかかる贈与税非課税措置
⑥住宅取得等資金にかかる相続時精算課税制度の特例
⑦居住用財産の買い替え等の場合の譲渡所得の課税の特例
⑧空き家を売却した際の譲渡所得の特別控除
①住宅ローン減税
住宅を新築・取得した場合、住宅ローンの金利負担を軽減するため、年末時におけるローン残高の1%を所得税から控除されます(控除期間は10年間)。
控除限度額は新築・取得した住宅によって異なります(下記参照)。
一般住宅
- 控除対象借入限度額 4000万円
- 控除期間 10年
- 控 除 率 1%
平成31年6月末までの制度です
平成31年6月30日までに入居する必要があります。
また、同減税制度の適用には要件があります。
詳しくは財務省HPまで。
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②自己資金で認定長期優良住宅等を購入した場合の所得税特別控除
住宅ローンを利用せず、自己資金で認定長期優良住宅等を建てた場合に、一定額が所得税から控除される制度です。
一般住宅から長期優良住宅等に性能を強化するのにかかる標準性能強化相当額(上限650万円)の10%相当額が、その年に限って所得税額から控除されます。
控除額=標準的な性能強化費用×控除率(10%)
控除限度額は65万円です。
平成31年6月末までの制度です
平成31年6月30日までに入居する必要があります。
また、同制度を利用できるのは、
- 認定長期優良住宅または認定低炭素住宅を新築・取得した場合
- 合計所得金額が3000万円以下
- 主として居住の用に供すること
- 住宅の床面積は50㎡以上
- 住宅の引渡し又は工事完了から6か月以内に入居
③不動産取得税の課税標準及び税率の特例措置
住宅を取得したときにかかる不動産取得税についても特則があります。
一般住宅
- 中古の場合:新築時に地方税法で規定されていた額
- 軽減税率 4%⇒3%
認定長期優良住宅
- 中古の場合:-
- 軽減税率 4%⇒3%
計算方法:(固定資産評価額-1200万)×3%(一般住宅の場合)
○住宅用地の取得
住宅用地の取得に関しても、課税標準が1/2となり、軽減税率(4%⇒3%)が適用となります。
計算方法:固定資産評価額×1/2×3%-控除額
同制度適用には要件があります。
また、平成30年3月31日までに新築・取得した住宅が対象です。
詳しくはこらちのサイトまで。
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④新築住宅に関する固定資産税の減額
固定資産税は、1月1日時点での所有者に対し、その年の4月1日から1年間の税を毎年納付します。
税額は、固定資産評価額×税率(1.4%)ですが、新築住宅には減額措置があります。
利用できる住宅:住宅の床面積50~280㎡(原則)
一般住宅の場合:戸建住宅―当初3年間、120㎡相当部分について固定資産税を1/2減額
中高層耐火住宅―当初5年間、120㎡相当部分について固定資産税を1/2減額
認定長期優良住宅の場合:戸建住宅―減額期間が3年⇒5年間に
中高層耐火住宅-減額期間が5年⇒7年間に
また、平成30年3月31日までに新築した住宅が対象です。
⑤住宅取得等資金にかかる贈与税非課税措置
満20歳以上の人が、直系尊属(実の両親、祖父母等)から住宅取得・敷地取得、リフォーム代金などの資金の贈与を受けた場合、一定の金額まで非課税になります。
契約年 | 質の高い住宅 | 一般の住宅 |
~H28.9 | 1,200万円 | 700万円 |
~H29.9 | 1,200万円(3,000万円) | 700万円(2,500万円) |
~H30.9 | 1,000万円(1,500万円) | 500万円(1,000万円) |
~H31.6 | 800万円(1,200万円) | 300万円(700万円) |
※()内は消費税10%で住宅を取得した場合
上記金額に贈与税の基礎控除(110万円)を加えた金額まで贈与税が非課税となります。
出典:財務省HP
【質の高い住宅とは】
・省エネ性の高い家-断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4
・耐震性の高い住宅―耐震等級2以上、または免震建築物
・バリアフリー性の高い住宅―高齢者等配慮対策等級3以上
平成31年6月末までの制度です
平成31年6月30日までの贈与が対象です。
また、同制度を利用できるのは、
- 受贈者の年収が2000万円以下
- 住宅の床面積50~240㎡
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居、又は同日後に遅滞なく居住することが確実と見込まれること
- 贈与を受けた年の1月1日に20才以上
等を満たす方が利用できます。
詳しくは財務省HPまで。
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⑥住宅取得等資金にかかる相続時精算課税制度の特例
満20歳以上の人が、親から住宅の新築・取得、増改築のための資金、先行取得する敷地の資金の贈与を受けた場合、親の年齢が60歳未満であっても、相続時精算課税制度を選択する事ができます(住宅取得等資金以外の場合、親の年齢が60歳以上である必要あり)。
暦年課税制度-贈与額毎年110万円まで非課税
相続時精算課税制度―贈与額2500万円まで非課税
【相続時精算課税制度のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
①2500万円までの贈与は非課税 2500万円を超過した部分についても税率は一律20% |
①相続時に税金が発生する可能性がある 相続時に贈与財産を足し戻して相続財産を計算するため、相続税が発生する可能性があります |
②早期に多額の財産を贈与できる | ②一度選択したら撤回不可 |
③収益物件の贈与は相続税対策に 当該物件の収益により贈与者の財産増加を防げるため、相続税対策になる事があります |
③申告の手間が増える |
④値上がりの可能性が高い物件の贈与は相続税対策に ③と同様の理由です。 |
④小規模宅地等の特例との併用不可 |
⑤遺産相続争いを防げる | ⑤生前贈与は物納不可 |
⑥生前贈与により評価額が下がり、相続対策になる | ⑥コストが増える |
【相続時精算課税制度とは?】
60歳以上の親から20歳以上の子へ生前贈与する場合、暦年課税制度か、相続時精算課税制度かを受贈者が選択できます。
相続時精算課税を選択した場合、まず贈与時に贈与税を納め、贈与者が亡くなった際には、贈与財産を含めて相続税を計算し、この相続税といったん支払っていた贈与税との差額を支払う(もしくは還付を受ける)ことになります。このように贈与税と相続税を横断させた納税を可能にすることにより、親から子の世代への贈与をスムーズにすることを目的にした制度です。
平成31年6月末までの制度です
平成31年6月30日までの贈与が対象です。
詳しくは財務省HP及びこちらのサイトへ。
※本項目は上記サイトを参考にしています。
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⑦居住用財産の買い替え等の場合の譲渡所得の課税の特例
居住用財産の買い換え・譲渡にともなって発生した譲渡損失につき、当該資産にかかる住宅ローン残高がある場合、一定の要件を満たせば譲渡損失等をその年分の所得金額から計算上控除できます
⇒つまり、給与所得や事業所得などほかの所得と損益通算できます。
平成29年12月31日までに譲渡したものが対象です!
詳しくは買換え等についての財務省HP及び譲渡に関する財務省のHPを参照。
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⑧空き家を売却した際の譲渡所得の特別控除
空き家の放置を防ぐため、相続による古い空きや又はその空き家を除却した敷地を売却した場合、譲渡所得から3000万円が控除されます。
平成31年いっぱいの制度です
平成31年12月31日までに譲渡した場合に適用されます。
詳しくはこちらのサイトへ。
いかがだったでしょうか。
住宅の新築・取得について、税制優遇措置だけでもこれだけたくさんあります。
同じ居住費を支払うにしても賃貸には適用のないものです。
次は、リフォームの税制優遇についてまとめます。
※本記事を作成するに当たり、TOTO、大建工業、YKKAPが共同で作成したガイドブックを参考にしました。
※本記事内に貼ってあるリンク先の内容については、弊社は責任を負いかねます。政府系のHP以外についてはあくまで参考としてください。
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