林業土木応用 丸太組土留工
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林業土木応用 丸太組土留工 着工前
熱海市の姫の沢公園にて、植物等の廃材を廃棄する捨て場の土留改修のご依頼をいただきました。
会社設立当時から現在に至るまで林業も手掛ける弊社ならではの、現地で材料を調達し、人工物は極力用いないエコ(エコロジー・エコノミー)にとことんこだわって工事を行いました。
元々の土留も丸太を用いて作られていますが、明らかに杭の本数が足りておらず、また、杭の長さも確保されていませんでした。
そこで、適切なピッチと埋込長を確保した杭を打ち、それと林業用簡易作業道における丸太組工法を組み合わせた丸太組土留工とすることにしました。
林業土木応用 丸太組土留工 施工状況
まずは、材料となる現地の杉を必要な本数伐採していきます。
事前に標準構造図を作成し、何mの丸太が何本必要かを計算してから伐採に取り掛かっています。
事前に標準構造図を作成し、何mの丸太が何本必要かを計算してから伐採に取り掛かっています。
丸太組工に入ってしまってから材木不足による追加伐採をする場合、既に施工済みの丸太組工を破壊してしまう可能性があるため、丸太の太さや長さを十分に考慮の上、伐採本数を決めていきました。
集材に使用した重機は0.2㎥のユンボだけです。ユンボとワイヤーで経費を抑えながら集材しました。
集材した材木は、太さなどを確認してどこに使えるかを考えながら造材していきます。
桁木に使う材木はなるべく長く(1本物のほうが強度が期待できるため)、それ以外のものはなるべく同じ規格になるように計測しながら造材していきます。
桁木に使う材木はなるべく長く(1本物のほうが強度が期待できるため)、それ以外のものはなるべく同じ規格になるように計測しながら造材していきます。
造材したものはあらかじめ決めた場所に整理してはい積みしていきます。
安全確保のほか、効率的な作業や作業スペースの確保などのために現場を整理しながら工事を進めていきます。
杭は末口直径が150㎜程度のものを3mに玉切った上で杭に加工していきます。
杭が表出するのが最大1.5mとしたとき、最低でも杭長は3m、埋込長は1.5m以上確保が必要と考えて杭を加工しています。
杭のピッチは800㎜。これは各県が策定する丸太構造物のガイドラインの中から一番短いピッチを採用したものです。
当初2段積みと思われた旧土留ですが、実は4段積みであることがわかりました。折れ点ごとの区間でも段数が異なっているようなので、既存土留の段数によって少し施工を調整することにしました。
一番深いところで掘削深約1200㎜となりました。
この区間では、下段の桁木の下に2本の丸太を敷設して高さを調節するとともに土留の強度を上げました。
敷設した丸太と桁木(下)は埋め戻してユンボ等により十分転圧します。十分な転圧は丈夫な作業道を作るために絶対に必要な作業です。
桁木(下)の埋戻・転圧の後には、横木を組んでいきます。
横木と杭を緊結するため、横木のピッチは800㎜。各県の作業道作設ガイドラインでの標準構造図の多くは1mピッチで設定されているため、標準よりも強度を増しています。
各県の作業道作設ガイドライン等では横木・桁木等の結束を#10のなまし鉄線(いわゆる番線)や10寸釘とされているところ、今回はL=300㎜、t=12㎜のスクリューボルトを採用しました。
スクリューボルトで杭と桁木(上下)、杭と横木を緊結します。これにより全体が1つの構造物としての一体性を持ちます。
折れ点における桁木(上下とも)の接続は、その場でチェンソーで加工して欠き継ぎにし、スクリューボルトで緊結しました。これにより各区間も構造的一体性が出ます。
地盤下がりを防ぐために、念には念を入れて、埋戻しには再生盛土材を使用しています。その後、特に土留の周辺を念入りにユンボで転圧します。
最後に、1tの振動ローラーで転圧して路盤をきれいに仕上げます。
林業土木応用 丸太組土留工 竣工
見えない部分も妥協なく、こだわりにこだわって施工させていただきました。
見た目もかなり美しくできただけでなく、近年のSDGsにも通じる経済的にも環境的にも優しい工事ができたと思います。
創立当初から土木だけでなく林業にも携わっている大角建設だからこそできたものだと自負しています。